スクリーンショット 2011-10-21 22.36.11.png

スクリーンショット 2011-10-22 0.12.14.png

ごあいさつ

幸福な子ども時代をもつ人は一生誰にも奪えない力を手にしています。幼かった頃の一つ一つの出来事は忘れてしまう日が来るかもしれないけれど、愛された記憶や満ち足りた時間の感触は胸に残ります。そんな子ども時代は振り返るたびにわたしたちを静かな力で満たしてくれます。(注)
どの子にも幸福な子ども時代を手に入れる権利があります。そしてどの親にも、わが子に幸福な子ども時代を与える喜びを味わう権利があります。親と子が満ち足りた思いで暮らせることを願い、精神科医として診療を続けてまいりました。そして気付けば試行錯誤の20年間が過ぎていました。

何の具体的な支援サービスも提供できない状況で、親御さんをなぐさめ励ますことだけが仕事のように感じた袋小路の時期もありました。療育指導のもとで子どもたちが驚くほどの技術を身に付けることを目の当たりにして、将来のための技術習得のみを最優先に日を送ることが幸せにつながると誤解した日もありました。
そして今、行動を調整する技術や自分に合った選択をする技術を教えるのと同時に、それら技術が必要な理由(誤った存在だからではなく少数派だから)を子どもたちに伝えていくことが重要だと強く感じています。

子どもが具体的自己支援技術を身に付け肯定的に自己をとらえるための心理学教育は、高機能自閉症・アスペルガー症候群の子どもたちへの療育の根幹をなすものです。子ども自身への診断名告知に代表される心理学教育は従来あまりにも軽視され家庭にのみ委ねられてきました。その一方で、近年の告知への関心の高まりは新たな誤解や危険を生じてもいます。こうした状況のなかで、治療技法としての心理学教育の検討を主目的としてペック研究所は設立されました。

そうはいってもよこはま発達クリニックでの臨床業務を減らすことなく設立した研究所です。ごく限られた活動からのスタートです。
たとえば、残念ながら子ども自身が直接参加する活動は現時点では予定していません。まずはこれまでの臨床経験やペック研究所での研究活動により得られた知見を情報発信していくことで、間接的ではありますが、子どもたちの役に立つ道しるべを探していこうと考えています。みなさまのご理解とご支持をお願い申し上げます。

  •           ペック研究所主宰 吉田 友子(よしだ ゆうこ)

注:中央法規出版「高機能自閉症・アスペルガー症候群 その子らしさを生かす子育て」おわりに、より抜粋